わが国の幸福モデルの終焉
第2次世界大戦から1990年代まで、
わが国では「大学を卒業し、多くの人が知っている有名な企業に入れば、人生安泰」
と考える人がかなり多くいました。
特に、年齢を重ねるごとにお給料や役職が上がり、
定年退職までの雇用が保証されていたことは、
多くの人に、「正社員として就職できれば、あとは大丈夫」という、
大きな安心感を与えました。
言い換えれば、わが国では多くの人々が若年時代の低賃金と引き換えに、
正社員としての雇用の保証を企業から得てきたのです。
これは、高度成長期からバブル経済期にかけての、わが国の“幸福モデル”です。
しかし、1990年代、わが国の幸福のモデルは限界に直面しました。
特に、1997年以降、それが明らかになりました。
金融システム不安が深刻化し、
かつて多くの学生が就職を希望した都市銀行の一つであった北海道拓殖銀行や、
わが国経済の復興と成長を長期の資金供給から支えてきた日本長期信用銀行が
経営破綻に陥ったのです。
この2行をはじめとする大手金融機関の経営破綻は、
終身雇用のリスクを人々に突き付けたと言えます。
一つの企業で、定年まで安泰に勤め上げるという考えは、
長期的に続けられるとは限らないのです。
その後、経済のグローバル化が進んでいます。
企業は海外への進出を加速させています。
外部プロ経営者の登用、転職の活発化、非正規雇用の増加など、
かつての“幸福モデル”が想定しなかった生き方が、当たり前になっています。
わが国は、フリーエージェント(いずれの企業や組織とも契約できる働き方)
の時代を迎えたのです。
自分の人生は企業における勤め方を前提に考えるのではなく、
自分が何をやり、どう生きたいかをベースに考えていったほうがよいでしょう。